一般社団法人日本生物教育学会は、生物教育の理論と実践について研究し、わが国の生物教育の向上と発展を図ることを目的に活動しています。本会は、1947年に日本生物教育研究会として発足し、1955年に日本生物教育学会と名称を改め、わが国の生物教育の向上と発展を目指して活動を続けてきました。そして2016年4月1日に一般社団法人日本生物教育学会となり、任意団体としての日本生物教育学会の活動を継承して新たに出発いたしました。本会は全国大会を1月に開催し研究発表やシンポジウム、ワークショップなどを行っています。また、支部が実施する生物教育に関する活動の支援などを行っています。
会誌「生物教育」は年に3号を発行し、会員の研究論文や生物教育に関わる資料、教材などを載せています。
本会は、学校教育や社会教育の場で活動している教育関係者や研究者及び生物教育に関心をもつ方や学生など様々な分野の会員で構成されています。また、理科教育関係の6学会で構成している教科「理科」関連学会協議会(CSERS)や生物科学系学会で構成している生物科学学会連合(生科連)、理数系学会教育問題協議会にも加盟し、他学会との連携を深めています。
一般社団法人 日本生物教育学会 事務局
〒113-0033 東京都文京区本郷2-26-17 大学通信教育ビル5階
中西印刷株式会社東京営業部内
電話(03)3816-0738
ファクス(03)3816-0766
メール:sbsej●nacos.com (●を半角@に変更してお送りください)
日本生物教育学会会長
渡邉重義
2024年1月5日の代議員会の決議により、日本生物教育学会の会長を拝命いたしました。少子化に伴う学校やクラスの減少、教員養成学部の再編と縮小、高等学校における学び方の見直し等、これからの時代の生物教育は激しい波風にもまれそうです。そのような状況下において、歴史ある日本生物教育学会の舵取りを委ねられたことに責任の重さを痛感しています。様々な課題が山積していますが、学会員の皆様とチーム一丸となって生物教育の活性化と発展を目指して、まい進していきたいと考えています。ご支援・ご協力をたまわりますようよろしくお願いいたします。
この半世紀において、生物教育は科学教育のなかで最も内容が変化した科目と言えるでしょう。近年は生命科学に関する内容が強調される一方で、器官・組織レベルの内容は少なくなっています。生物の分類や進化の取り扱われ方も変化しています。生物教育の教育課程は、生物学および生命科学の動向の影響を受けて変遷してきました。研究の進歩は新たな知見を産み出し、生物教育の対象となる情報は増殖していきます。しかし、無批判に新しい知見や研究の隆盛を教育課程に取り入れることは避けなければなりません。日本生物教育学会は、学校教育の目的に照らし合わせて、生物教育で学ぶべき本質を精選し、生徒が主体的かつ探究的に学習するための方策を提示する役割を担う必要があります。
魅力的で面白い生物教育は、小学校、中学校、高等学校等で授業を行う教員の双肩にかかっています。面白く質の高い生物教育の実践を目指して教材研究や授業研究を意欲的に行う教員を増やしていくことも、日本生物教育学会の使命と言えます。日本生物教育学会が、生物教育を担う教員が楽しく学び合える場になることが大切です。近年、促進されているICT教育は個別最適な学習方法の新たな提案につながりますが、その一方で生物の実物に触れる観察実験の替わりとして映像やアニメーションの安易な利用を導くのではないかと懸念されます。「生き物」から学ぶことを重視し、「生き物」からの学びをプロデュースできる教員を育成する必要があります。
日本生物教育学会は、生物を学ぶ学習者のための学会であり、生物の授業を担当する教員のための学会であり、生物教育の研究者のための学会であることを目指したいと思います。
2024(令和6)年1月