2014年12月5日に「身の回りの植物の生存戦略」をテーマに,「NPO法人 かわさき市民アカデミー」で「みどり学Ⅱ」ワークショップ(コーディネーター 高野信弘氏)が開催され,講師にサポーターの岡崎惠視氏(東京学芸大学名誉教授)が委嘱されました。一般市民30名の参加がありました。
「講義編」では,送粉戦略・厳しい環境に耐える戦略・昆虫などに対する防御戦略・種子散布戦略について,スライドを示しながら,具体的な植物を例に挙げた説明がありました。続く「実践編」では,先ずは,昆虫の採餌に対する葉の防御機構として,葉に作られる“石”(鍾乳体)に焦点を当てました。マイクロラジオグラフィー(精密なレントゲン写真撮影法)で撮影されたガジュマル(クワ科)の葉における鍾乳体の分布写真を,そしてその葉から単離した鍾乳体を顕微鏡で観察しました。また,風散布種子にも焦点を当て,種子散布体模型を作製して,これらの模型を実際に飛ばしました。この活動では、市販されている模型キットを使うと共に、講師らが開発したシナノキ(アオイ科)の種子散布体模型を作製しました。受講生は,実物の種子散布体と飛び方を比較することで,上手に飛翔する実物の精巧な造りに感銘を受けたようでした。
主催者側からは,「動けない植物が巧妙に生き残ってきた状況を,植物の生存戦略として,受講生へ興味・関心をもたせるように講義していただき大変良かった。種子散布戦略については説明だけでなく,紙模型作製に受講生が取り組んだので,受講生も楽しい実習となり,感謝しています。」との評価がありました。また,受講者からは,「種子散布の紙模型作りは子供に返ったように楽しかった。種子の飛び方を紙模型で,ここまで真似ることができて感激した。顕微鏡で鍾乳体を初めて見て,植物の防衛力の凄さに驚いた。」などの感想がありました。
講義を聞く受講生の皆さん