2014年7月4日「花は葉の変態」をテーマに，「NPO法人 かわさき市民アカデミー」の「みどり学Ⅱ」ワークショップ（コーディネーター 高野信弘氏）の一環として実施されたサポート事業の報告です。講師として，サポーターの岡崎惠視氏（東京学芸大学名誉教授）が委嘱されました。一般市民31名の参加がありました。講師の著書（共著）「花の観察学入門」（1999）（培風館）の内容を抜粋した内容で，受講生は植物に強い関心を持つ皆さんでした。
前半の「理論の部」では，まず，ドイツの文学者，自然科学者であったフォン・ゲーテ（1790）の仮説「花は葉の変態」が紹介されました。そして，その証拠となる事実を挙げて説明がありました。花と葉の形質の類似，先祖返りで葉に変わった花の要素，果実に見られる葉の痕跡，葉の原基から花を形成する遺伝子（ABCモデル），シダ植物の生殖器官と花の雄蕊・雌蕊の働きとの類似などです。後半の「実践の部」では，受講生は５組に分かれてサヤエンドウ，スイカ，バナナ，ミカンの果実を横に切り，葉の痕跡を実際に探しました。講演前は，「花は葉の変態である」と思っている受講生は数名でしたが，果実に葉の痕跡（類似）を実際に観察した後では，大多数の受講生がこの概念をほぼ理解してくれたようでした。
主催者側からは，「このワークショップの目標をご理解頂き，実践の部に重点を置いて下さり，大変有りがたかった。受講生の学習意欲を高め，興味を誘う内容で，大変良い講演であつた。」との評価がありました。また，受講者からは，「これまで，実を切って，中を観察することが少なかったので，新しい発見が沢山あった。葉の構造が花や実へつながっていることが判って，面白かった。これからも，他の実も切って調べたい。」などの感想がありました。
講義を聴く受講生の皆さん
