2014年7月21日「日本生物教育学会九州支部研修会」が開催され,サポーターの片山舒康氏(東京学芸大学名誉教授)と北野日出男氏(東京学芸大学名誉教授)が講師を委嘱されました。教員など26名の参加がありました。
片山氏のテーマは「藻類(海藻)の分類・系統と進化を実験で確かめる」で,海藻の分類・系統・進化および光合成色素に関する講義と,海藻などの色素の抽出と分離の実験がセットになった内容でした。講義の主な話題は,藻類の共通性と多様性および進化(これらは高校の新しい科目「生物基礎」の主要コンセプト)でした。実験では,3~4名が1グループになって,クロロフィルaとカロテンは海藻(緑藻・褐藻・紅藻)や藍藻に共通して存在するが,それ以外のクロロフィルとカロテノイドは分類群によって多様であること,を確かめました。参加者からは「すぐに授業で実践できる内容で大変役に立つ。」「実験の方法や薬品の準備などが容易で,かつ結果が明確。」などの感想がありました。
北野氏のテーマは「捕食寄生蜂(Parasitoid)の話」で,以下の内容の講演がありました。
・寄生蜂とは何か? ・寄生蜂研究をはじめた動機
・寄生蜂のライフサイクル ・昆虫の防御反応
・コマユバチ卵がアオムシの防御反応をどう回避するか
北野氏のライフワークである寄生蜂研究の面白さを,ご自身の生い立ちから現在の研究動向までユーモアたっぷりに話されました。寄生蜂のもつ見事なメカニズムを知ることで,多くの驚きと感動を参加者に与えていただきました。参加者からは「研究の面白さを共感できた。」「生き物に対する知的好奇心を揺さぶられる興味ある話だった。」などの感想がありました。