2011年10月28日に神奈川県の大学で実施された生物教育サポート事業の報告です。
「理科教育における生命倫理―『魚の解剖』の実践を通して―」をテーマに,初等教育教員等を志望する大学生を対象としたものでしたが,来日していたフィリピン大学の訪問団も見学されました。
授業内容は,麻酔したフナの解剖を通して,生物の体の構造と機能,及び生物多様性を理解し,生命観を育成していくものでした。「理科教育においては,直接生物に接して『命』を実感させ,生命科学に関する科学的知識を身につけると共に,生命観を育成していくことが重要である」という講師(生物教育サポーター)の考えに基づいて,事前に生命倫理に関する指導を行い,動物解剖に対する理解を深めた上での実施でした。学生は熱心に解剖実習に取り組み,動物の体の構造と機能に関する多くの知識を得ました。この授業は,学生にとって生物の多様性及び共通性,生命についても学ぶよい機会となりました。
授業後の調査では,当初「解剖」に消極的だった学生の多くが,「やってよかった」と回答し,また「実際に体験することで体のつくりがよくわかった」「心臓の動きを見て命を実感した」「心臓の拍動,自動能を見てすごいと思った」などの感想が得られました。フィリピン大学からの来訪者も熱心に見学し,彼らに対するアンケートでは「大変興味深い授業だった」「体の構造と命を学ぶ有効な方法である」などの回答が得られました。