(「まえがき」より)
総合的な学習の時間が設置されて自主的な学びを行う時間が増え、さらに中、高等学校での選択制が強化され、理科の時間数を学習内容が少なくなるというように状況が大きく変わる中で、理科教育は旧態依然たるままでよいはずがなく、その基本理念の革新が求められる。特に、学校教育において文化的内容を伝達する機能を強め、基礎・基本をきちんと身に付けさせる教育を目指す必要があるのではないかと思う。
そこで、教師が有意味に教える理科授業、すなわち「教えの復権をめざす理科授業」を提案することとした。本提案は、機械的な暗記を強いる教育ではなく、オーズベルが提唱した有意味需要学習を基礎理論とし、先行オーガナイザをもとに有意味に教える授業を目指している。本授業では、演繹的な思考過程を重視し、原稿小学校の理科学習指導案で提案している「見通しをもたせる」ことを具現化したものである。